第4回クラブ特別展 剣道、硬式庭球、軟式庭球 7月27日(金)まで展示中 |
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今年の「特別展」は数々の栄光の記録を有する「剣道部」「硬式庭球部」に加え平成期に入って着実な成長を遂げている「軟式庭球部」を採り上げた。
また創設期以来約20年にわたり豊中中学の教壇に立たれ多くの生徒の育成に寄与された松岡藤太郎先生の諸資料を展示した。
大正時代、寒稽古を呼びかける格調高い中学生の「檄文」。 昭和15年には有段者百余名を有し、新聞紙上で「日本一の剣道中学校」と称せられるまでに成長させた功労者川上徳蔵先生の遺影、更にその後継者として剣道部を育成された井坂賢一郎先生の遺品を揃えた。
このほか豊高在学中に2段を取得、卒業後5段に昇進した女性剣士・高30期小瀬戸由起子さんを紹介。 異色の展示物としては、戦争に敗れ一時連合国から禁止されていた剣道が「しない競技」として復活した時に使用した面や袋竹刀がある。
2度の全国制覇を誇り、「デビスカップ」や「ウインブルドン」出場の中1回桑原孝夫氏をはじめ、全国大会優勝の中4回鵜原謙造氏、準優勝の中16回岸田慶一氏、関西の覇者中18回藤井一徳・辰巳 昴氏などの名選手を生んだ硬式庭球は、2つの優勝旗と共に賞状とそれに関連する懐かしい写真が展示された。
また豊高卒業生として唯一人全国で百余名しかいないプロテニス教師のライセンスを持つ高13期山崎真吾氏が所蔵する大正末期から昭和期までのラケットと関連資料を展示している。 テニスの歴史を側面から見る資料としては興味がある。
平成期に入って着実に実力をつけ高51期二階堂・田仲組をはじめとする幾多の好選手を輩出した軟式庭球(ソフトテニス)を採り上げた。
武田洋政先生の好指導で平成4年以来12年連続の近畿大会出場は、あらゆる高校スポーツ活動が私学優位の流れの中にあって高く評価したい。
松岡藤太郎先生に関する企画は、たまたま昨年秋、豊中市緑丘在住の令孫松岡信明氏から先生が大切に保存された70余の遺品の寄贈を受けたことによる。
旧制中学校教諭は、内閣総理大臣によって任命される奏任官であった。 それゆえ現在のように地方教育委員会(豊高の場合は大阪府教育委員会)直轄ではなかったので、辞令一つで日本中どこへでも転勤させられた。 松岡先生の場合も熊本県・三重県・和歌山県そして大阪府と転勤しておられる。 大正から昭和へと日本が大きく転換していった時代を過ごされた先生の足跡を示す貴重な品々から戦前の教育界の一端を知ることが出来るのではなかろうか。
先生の豊中中学校時代を知る先輩の一人は「大変謹厳な先生であり、儀式の日には校長先生の後ろから『勅語』を奉持して歩かれたのを記憶している」とのこと。
なお先生のご長男、故紀明氏は豊中中学15回生であった。