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展示ケースからB

大阪府立豊中中学校生徒心得

中23回並川厚二郎氏寄贈の「大阪府立豊中中学校生徒心得」の内容を一部を紹介する。
並川氏が昭和19年春沖縄二中から転入した時に手渡されたものである。

前文は

「本校生徒は常に豊中中学校生徒たるの品位を保ち、新日本建設の中堅国民となるの抱負を以て学に勉め、 識見を養ひ、真実を愛し、責仔を軍んじ、真に有為の人物となるやう日夜工夫が肝要である。 次に揚げる諸項目は日常通学に当り励行すべき事項であるから熟読玩味、荷も違背することのない様心掛けなくてはならない」

これに続いて「敬礼」「教室」「服装」等七分野、びっしり書き連なっている。
敬礼の項には敬礼作法は

「直立不動ノ姿勢ヲ取リ体ノ上部ヲ少シク前ニ傾ケル、着帽ノ際ハ右手二帽庇ヲ持ッテ之ヲ脱シ、帽ノ内部ヲ内股二対セシメテ上記ノ作法ヲスル」

現代人には理解し難い表現である。

「教室二於テハ静粛ヲ旨トシ苟シクモ惰容テアルコトハ許サレナイ」

確かに当時の授業中生徒の姿勢はよかったように思う。

「服装ハスベテ端正質素ヲ旨トシ本校生徒タルノ品位ヲ保ツ様留意シナクテハナラヌ」

私服になって服装を楽しんでいる現役生には一度振返ってみてほしいところである。
「校外」「その他」では現代でも通用する部分と思わず笑ってしまいたくなるような規制が混在する。

「映画・演劇等ハ気品ノアルモノ及ビ研究二有益ナルモノヲ選ビ、旦ツ観覧二際シテハ保護者ノ同伴ヲ得ナケレバナラヌ」

スケート場喫茶店・低級な露店・盛り場も併せて中学生としての品位の維持が強制されているのは、進学率の低かった時代のエリート意識の現われともいうべきか。
もっとも、現代道徳にも通用する項目も数多く見られるので、
今の認識の上に立ってじっくり検討しても面白いのではないか。
過去の思考がすべて否定されるわけではなかろう。